5月27日モネ作「睡蓮」

5月27日モネ作「睡蓮」

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 土曜休日。かつてはリストやサン=サーンスが弾いていたマドレーヌ寺院のオルガンの演奏を聴き、先日ジグマノフスキ氏に勧められたモネの睡蓮をみるためにオランジェリー美術館へ向かった。観光客で混雑していたため、入館まで1時間も待つ羽目になった。モネの「睡蓮」に行きつくまでにも、ルノワールやピカソの素晴らしい絵画に釘づけになった。肝心の「睡蓮」が展示されている部屋にたどり着いた時は、既におなか一杯になっていた。そのせいもあってか、「睡蓮」をじっくり鑑賞し、自分なりのものを吸収するには、この日限りにおいては消化不良と言わざるをえなかった。もしくは、もっと感性を磨く必要があったのかもしれない。
  その帰り、グラン・パレ内の科学技術博物館「発見の殿堂」へ立ち寄った。グラン・パレは1900年のパリ万国博覧会のために建てられた、その名の通りお城のような建築物の展示会場である。古風で芸術的な建築物の中に、最先端科学技術の展示が常設されている。「科学が否定しようとすることを、芸術は喚起しようとする」とは誰の言葉だったか、一見かけ離れた世界であるかのような、若しくはお互い否定しあうかのような芸術と科学が、無理やり押し込められたように混在している空間に、何とも言えない違和感を感じたと同時に、温故知新、古い伝統と文化を守りつつイノベーションを起こしながら絶えず未来に向かって変革していかねばならないヨーロッパのおかれた立場を体現しているかのようであった。