5月12日ギャルドン先生
午前中お休みを頂き、ギャルドン先生のご自宅に向かった。毎回レッスンの日は、約束の時間の少し前に先生のご自宅近くの決まったカフェでエスプレッソを飲み、体を温めてレッスンに臨んだ。今日のレッスンでは、見て頂いたドビュッシーの曲については「色があって大変結構」と言われたが、サン・サーンスのワルツが技術的にも読譜的にも全く不完全で、先生も相当困って熱くなっておられた。しかしそれでも、テクニックの抜けている基礎的部分を、神がかり的な教授術で教えて頂き、内容の濃いレッスンとなった。その日何度も繰り返し教えられた「手の動きを目で見て練習しろ」というある種卓越した職人的価値観とでもいえそうなご教示は、その後ピアノと向かい合う際、常に意識せざるを得ない指針となった。但し、同じアドバイスを頂いても、それがどういう価値を持つかは、習う側がどう感じ、そこから何を得るかによって異なってくるものである。少なくとも私にとってこの教えは神がかり的なものとして受け止められた。
午後はキュリー研で働き、晩はCNR(国立地方音楽院)パリ校で沖縄の大先輩のリサイタル。沖縄県立芸大とCNRの交換演奏会だったようである。そこでもギャルドン先生にお目にかかった。