5月6日ブダペスト
この日、間借りしていた音楽留学生に、彼が通うリスト音楽院を案内してもらった。彼は練習に向かい、私もその間練習室でピアノを弾く機会にも恵まれた。折角なので、リスト晩年の宗教音楽「王の御旗」や「スルスム・コルダ」など数曲を弾きながら、壮絶で華麗でロマンに満ちたリストの人生と、彼が生涯愛したブダペストに思いを馳せた。
その後一人で市内のリスト博物館を訪れた。小学校5年生の時、学校の図書館で初めてリストの伝記に出会って以来、本や写真で度々目にし、脳裏に焼き付いているリストや家族の肖像画、愛用のピアノや銀の譜面台などの現物が所狭しに展示され、ついにこれらの遺品と出会うことができたと思うと、感慨深く、巡礼の地を訪れた気持に浸った。
ランチはフォアグラで有名なレストランで、特大のフォアグラ料理を頂いた。信じられない安さと美味しさであった。若いうちに食べる機会に恵まれて本当によかった。もう少し年を取ってからでは、自分がフォアグラになってしまうことを危惧して、このボリューム満点のフォアグラを堪能できなかったであろう。夜もハンガリー料理を頂き、ブダペストの美しい夜景を堪能し、ハンガリー最後の晩は間借りしていた知人とピアノ音楽やピアニスト達について遅くまで語り合った。