2008年10月15日ナント大学訪問
前日の午後、パリからナントへ向かい、ナントの勅令が発せられた場所として知られるブルターニュ公爵城を見学して、晩はご招待頂いたナント大学教授、高橋先生とディナーをとった。ブルターニュ地方の海産物を食べながら、当時我々の共同研究の対象だった、相同組み換えタンパク質から生物学全般に及ぶ雑談を楽しんだ。ノーベル賞の話題になると、「狙ってもらえる物ではないのだから、好きな研究をやってもらえればラッキー、もらえなくても人生悔いなしでいいではないか」と、ご意見を述べられた。高橋先生とのこの3時間のディナーが、人生観やキャリアについて考え、学術的にも視野を広げ、研究者としての生き様や価値観を感化されたという意味で、今回の訪問で最も多くの収穫があった。
翌日セミナーで講演をすべく、ナント大学を訪問した。建物は全体的に古く、ややさびれ気味ながら、メインとなる講堂の設計は、それなりに気合が入った感があった。先生が研究室を構える大学内の研究所を案内してもらい、ナント大学の教授達と職員食堂で食事をした。彼らも例にもれず、全員が高等師範学校(ENS)の卒業生だった。午後2時からセミナー開始。招待して頂いた高橋教授は生化学がご専門で、聴講して頂いた教授方や研究者達もほとんどが生物学者だった。分野が違うと知識だけでなく考え方や、時には人間的性格や興味のツボも異なるので、自分の領域の話や研究内容を理解してもらうためにはかなりの努力と辛抱が必要である。幸い皆さまのアットホームでフレンドリーな雰囲気に助けられ、スムーズに話を進め、無事セミナーを終えることができた。