2008年8月 Ecole Normal Superieurパリ校

2008年8月 Ecole Normal Superieurパリ校

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 かつては毎年数十人しか入学できなかったフランス最難関大学、高等師範学校パリ校(ENS)がrue d’Ulm(ユルム通り)にある。その道向かいにキュリー研究所の建物が並んでいる。いつもデジュネ(ランチ)はENSの学食で食べ、ここで外国人用フランス語講座に参加している。また、この学校の地下の体育館で時々同僚たちとバスケットボールを楽しんでいた。フランスの高等師範学校、通称ENSは、現在では4,5校に増えたようで、パリ校は文学系の学科を主としているようだ。
 ENSの学生は、日本人の感覚でいえば、東大生の中で優秀な方から一割だけを集めたような超秀才達である。グランゼコール(フランスのトップ校)出身のフランス人の友人も、rue d’Ulmを歩いている奴らは宇宙人みたいに頭がいい、といっていた。19世紀の小説にも時々登場する。ちょうどその頃、ロマン・ロラン著の「ベートーベンの生涯」を読んでいた。彼もENSパリ校出身だそうだ。彼もこの辺りをうろついていたのだろう。ちょっと想像してみた。
 キュリー研究所の我々の研究室の1分子グループメンバーは、上は教授から下はインターンの学部生まで、フランス人はみなENSの卒業生だった。イタリア人と日本人メンバーも、それぞれ母国で最難関大学を卒業していた。いわゆるエリート、秀才ばかりを集めることが、研究グループを組織する上で最良の方法なのかはともかくとして、優秀な人材は企業やビジネス業界に流れる昨今の日本や米国の情勢の中、研究者をしている限り、ここまで優秀な同僚に囲まれて仕事をする機会は、先にも後にもないだろう。