2008年7月18, 19日

2008年7月18, 19日

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 平日はひたすら実験の日々が続いていたこともあり、週末オックスフォードにショートステイ中だった若い友人が、パリに遊びに来てくれて一緒に観光したことは、とても良い息抜きになった。
 キュリー研とその周辺界隈を案内し、キュリー研のカフェでコーヒーを飲んだ。キュリー研の近所にあるので、毎日眺めてはいるがまだ内部を見学したことのないパンテオンの地下に入った。ここにはフランスに多大な功績のあった偉人の遺体を集めて安置している。ここに初めて入り、キュリー夫妻と大好きなヴィクトル・ユゴーのお墓参りをした。
 翌日、その友人とパリ散策にでかけ、モンマルトルに立ち寄った。いつもは素通りしていた、モンマルトルの若手画家が所狭しと陣取っている小さな広場に入った時、ふと妙に懐かしい気がした。5歳くらいの頃、家族とここに来た覚えがある。その時の光景が脳裏に浮かんだのだ。この道の、この角度からの風景、一枚のスナップショットだけ、明瞭に記憶に刻まれていた。あれからもうすぐ四半世紀。米国ボストン郊外のベルモントに家族で住んでいた幼少期、家族でヨーロッパ一周旅行をした際、イベリア半島を除く西側諸国の主要都市と観光地を回った。その時の光景が、幼い頃の記憶として、パリや他国の主要スポットを再訪問した時々、記憶の書庫から静止画としてよみがえり、目の前の光景と照らしあわされることが度々あった。パリはその書庫に最も多くの情景が収められている街であり、パリ滞在中にこのような郷愁を誘うフラッシュバックはしばしばだった。
 この晩は彼と、国際学園都市の中庭でパリの初夏の乾燥した心地よい夜風の中で、パリのワインと沖縄の泡盛を楽しみながら、互いの将来の夢や、フランスの格差社会、いかに日本が素晴らしい国であるかなど、様々な話題について語り合い、イギリス館の小生の部屋で夜を明かした。短い時間だったが、パリを楽しんでもらえたようで、案内した側も満足感があった。彼とは、この時から最も大事な友人の一人となり、帰国後東京で相当な量の日本酒や焼酎を一緒に飲むことになった。