8月11日ロジェ先生レッスン
その日のレッスンは英語で行われた。ドビュッシーとプーランクの曲からいくつかを再度みてもらい、ヨゼフ・ディヒラーとサン・サーンスの新しい曲を聴いて頂いた。この日はディスカッションが弾み、曲について、ピアノ演奏一般について、また彼ら作曲家の時代背景について、多くの議論を交わした。この時みて頂いたサン・サーンスによるいくつかの小曲については、作曲家本人の演奏が残されていて、その演奏から感じたインスピレーションや、具体的な奏法について自分の見解を述べ、先生の意見を伺ったところ、サン・サーンスが演奏するベートーベンを録音で聴いた時の感想を「かなり速く弾いていた。彼の方が我々よりはるかにベートーベンが生きていた時代に近いので、彼の方が我々よりも当時のことを知っているのだろう」と述べられていた。最後はBonne continuation(頑張って続けるように)。
翌日が講習会最終日で、先生やクラスの生徒達に別れを告げた。2年後の夏に再び戻ってくることになるが、当音楽院は翌年新校舎に移動したため、ギャルドン先生やタッキーノ先生らが学んだこの歴史ある古い校舎で学ぶのは最後の機会だった。