5月5日Ormos研究室訪問(セゲド)
その日は朝から国立生物物理学研究所Ormos先生の研究室を訪問した。まず自分の研究を紹介し、彼らの最新の研究を説明して頂き、また今後の研究構想などについて様々な議論を交わした。彼らも私が東京で行っていた回転型モータ蛋白質の実験を始めようとしていて、担当の大学院生に実験のアドバイスもした。その大学院生とはその後パリに戻ってからも、頻繁に電子メールでアドバイスや議論を続けた。彼らのグループでは、レーザートラップ技術を用いたDNA一分子操作について卓越した成果を得ていた。彼らはとても聡明で親しみやすかった。
最後にOrmos教授が彼の車で近くの教会を案内してくれた。この教会にはハンガリーの英雄や偉人達の胸像があり、リスト、バルトーク、コダーイら音楽家に交じり、ノーベル賞受賞者アルベルト博士を見ることができた。Ormos教授に駅まで送って頂き、ブダペストに向かった。ここでOrmos教授らと交わした議論からは、その後のパリでの実験系の開発に役立つ多くのアイディアが生まれていた。
日本ではそれまで、教授という肩書の人の口からは、精神論による一方的な指導や叱責しか聞いた事がなかった私にとって、Ormos教授との双方向の対等な議論、意見交換は、お互いに大変有益なものであっただけでなく、新鮮に感じた。日本で年輩の教員に大学院生や若い研究者と研究の具体的な話を避ける人がいる理由は、精神論で一方的に押さえつける方が楽だからか、もしくは研究の議論をする自信がないからであろうか。
帰りはブダペストにしばし滞在し、観光にあてた。知人に紹介された音楽留学生と落ち合い、ブタペストの主要なコンサートホールであるネムゼクティホールで、シューベルト交響曲「未完成」やバルトークのヴィオラ協奏曲の演奏を聴いた。予想外にレベルが高く統制のとれたオーケストラで、満足のいく演奏会だった。
帰りはブダペストにしばし滞在し、観光にあてた。知人に紹介された音楽留学生と落ち合い、ブタペストの主要なコンサートホールであるネムゼクティホールで、シューベルト交響曲「未完成」やバルトークのヴィオラ協奏曲の演奏を聴いた。予想外にレベルが高く統制のとれたオーケストラで、満足のいく演奏会だった。
その後、こじんまりとした趣のあるレストランを紹介して頂き、ハンガリーの民族料理を堪能した。知人に紹介された音楽留学生のご自宅にあるピアノはKoch&Korseltという、現在では既に無くなっていたハンガリーのレアなブランドで、鍵盤の数は88鍵より少なかった。彼は、そのピアノでカール・ヴァインのピアノソナタなどを弾いて聴かせてくれた。