2008年11月27日グレゴリー・ソコロフ@シャンゼリゼ劇場
音楽家の知人達から、是非聴くようにと薦められていたピアニスト、グレゴリー・ソコロフの演奏を初めて聴いた。一時期は毎週のように通っていたシャンゼリゼ劇場に足を運ぶのは久しぶりだった。プログラムはモーツァルトとベートーヴェンの、ややマイナーなソナタが中心だった。彼の弾き方は、腕と手が大きく上下するもので、一見弾きにくそうに見えるが、全くピアノに負荷のかかっていないかのような美しい音色がとても自然に紡ぎ出され、演奏を聴こうと意識せずとも、会場に身を置いているだけで自然に聴き入ってしまう演奏だった。
しばらく聞いていると、ピアニストの存在が消え、ピアノが勝手に演奏しているような、大きなふたの開いた箱から音が自然にあふれ出ているような錯覚を受けた。ピアノに極限まで負担がかからないない時、このような音がでるのだろうか。もっと彼の演奏を聴ける機会があることを祈る。