2008年7月9日イタリア語
今回の滞在で、キュリー研で私に割り当てられた机の両隣はイタリア人の同僚だった。キュリー研内の我々の研究グループでは、フランス語の次にイタリア語が公用語となっていた。「コメバ?」(調子はどう?) 「ベーネ!」(好調!) で一日が始まる。これらイタリア人だけでなく欧米文化圏で共通する一日の始めに交わす会話を、日本ではどういうのかと彼らに問われ、とっさに出てきたのが「どうよ?」「まあまあ」だった。日本では「絶好調」とは言わず、まずまずだというのが普通だという日本人の慣習を、国際感覚豊かな彼らは興味をもって理解してくれた。欧米、殊にフランスでは、庶民の黄色人種に対する強い偏見と侮蔑とは対極的に、上流やエリート達の日本人と日本文化に対する敬意と理解は相当なものだと聞いていた。控えめに表現するとか、意思表示をあまりしないなど、日本特有の文化に彼らはもともと理解と興味があったようだ。
机に座ると、窓からピエール・マリーキュリー通りに立ち並ぶ美しいアパルトメントが見え、近所に住む日本人ピアニストの菅氏の家からは、練習かレッスンか、程よく心地よい音量でしばしばピアノの音が聞こえてきた。菅氏に師事していたピアニストの知人もいたため、この音、このタッチは誰々さんのピアノかな、など、仕事の合間にピアノが頭をよぎることもあった。
(写真:机からみえたピエール&マリー・キュリー街)
机に座ると、窓からピエール・マリーキュリー通りに立ち並ぶ美しいアパルトメントが見え、近所に住む日本人ピアニストの菅氏の家からは、練習かレッスンか、程よく心地よい音量でしばしばピアノの音が聞こえてきた。菅氏に師事していたピアニストの知人もいたため、この音、このタッチは誰々さんのピアノかな、など、仕事の合間にピアノが頭をよぎることもあった。
(写真:机からみえたピエール&マリー・キュリー街)