9月30日トム・ジョンソン訪問

9月30日トム・ジョンソン訪問

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 帰国前に一度はご挨拶に行っておこうと思いたち、久々にトム・ジョンソン氏宅を訪問した。その日は近くのカフェで一緒に昼食をとった。雑談をしている間は普通のいいおじさんであるが、音楽や彼の大好きな科学や数学の話をすると、相変わらず合点がいかない発言ばかりだった。その日も「自分の(数学の?)理論は普遍的だ」など自信に満ちた語りを聞かされた。彼が素晴らしいと認めるミニマムミュージックのCDを一枚一枚聞かされ、その素晴らしさを理解するように言われた。はじめは毎回辛抱強く話を聞いて、苦し紛れの感想を述べていたが、反応が良くなくなるにつれて彼もご不満だったようだ。彼が昼寝をしている間に聴いておくようにと言われて、半ば強制的に聴かされたSaryというハンガリーの作曲家の楽曲だけは、それなりに感じるものがあった。後日、共通の友人であるジェフスキ氏にもこの日の出来事を電話で話し、僕が興味を持ってくれなかったことに対して愚痴をこぼしていたそうである。相変わらず、同じ現代音楽の巨匠と言われるジェフスキ氏とジョンソン氏の、一方は巨大な知性と寛大な人格を持ち合わせ、他方からはその真逆を感じざるを得ないという正反対の個性がどうケミストリーを起こせば理解しあえる仲になるのか、理解ができない。