2009年3月10日、12日セミナー

2009年3月10日、12日セミナー

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東大時代にお世話になった先生方や元同僚達が、日本のみならずフランス各地からセミナーのため大挙してパリにいらした。会場はCNRS(国立科学研究機構)の大会議室(Auditorium)。元同僚達の研究の進展状況が伺えて大変懐かしく、また相変わらず活発な研究活動に刺激を受けた。
 その一連のイベントとして、その二日後、キュリー研のご近所のESPCI(高等物理化学学校)で行われたNano thermique(ナノ熱力学)セミナーの招待講演にお招き頂く機会に恵まれた。演題は”Micro-Régulateur de température permettant l’analyse de biomolécules sur une gamme de temps de la seconde à la milliseconde”と、フランス語で演題登録をさせて頂いたが、さすがにフランス語で講演をするほど語学が堪能ではないので、この時も英語で講演を行った。ESPCIはキュリー夫妻がラジウムを発見した場所に建てられた大学であり、晩年キュリー研にもいらしたド・ジェンヌ先生が長年学長を務めていた大学でもある。建物の壁に、この大学にゆかりのある歴史的大科学者・ノーベル賞受賞者達の大きな写真が飾られている。 
 セミナーではリヨン大学とESPCIの研究者達の発表の各セクションの前に、東京大学からいらしたキム先生と、私が基調講演をさせて頂いた。共同研究をさせて頂いた2005年からますます進んでいたキム先生の大変興味深い研究に、ド・ジェンヌ先生と、先生と事実上の家庭を持たれていた元教え子で、当時キュリー研にてまだ現役で研究活動をされていたフランソワーズ先生がお二人で書かれた論文の理論が使われていた。こんな身近に、世界中から注目される研究者がいる環境を改めて実感し、将来有用となるであろうネットワーク構築のみならず、彼らの考え方や価値観、文化を学び、これらを自分の研究活動に役立てるよう、今後は研究の内容のみでなく、それらの研究を行った研究者達個人への関心を持つように心がけたいと思った。