3月14日仁田賞
当時まだ東京大学大学院の博士課程に籍を置いていたため、とあるセミナーでの発表義務があり、一時帰国していた。その時私が東京大学で行った発表に対し仁田記念賞受賞が内定していたらしいことを、パリに戻ったその日に知った。しかし、残念なことに、東京から受けたのは良い知らせではなかった。
当日、私が発表を終えた後、教授達の間では受賞内定が固まっていたが、翌日パリに戻らないといけなかったため、私はセミナー会場を早めに退席していたのである。セミナーが終了し、受賞を発表しようとした際、受賞内定者である私が不在であったことに気づいた教授陣が、セミナー早退はけしからんということでお怒りになり、受賞取り消しということになったそうである。日本では仕事の内容よりも態度や精神論が優先される、そのことをパリに戻ったその日に再確認させられた。受賞が内定していなければ、きっと私が早退したことなど誰も気づかず、先生方の機嫌を損ねることもなかったであろう。福が転じて災いとなる(?)とでもいうべき逸話である。パリに戻るために早退したのであるから仕方のないことであったが、前もって申し開きをするなど、何かしら対応はあっただろうと反省。日本で生きていく予定であるからには、今後このような事態にうまく対応できるよう精進していきたいと思った。
この逸話を早速職場でカペロ先生に話したところ「孫にも語れるネタだね」と笑ってくれた。日本人とイタリア人の反応の違いを、今更ながら興味深く感じた。