2008年8月7日キュリー博物館
高校以来の友人が観光でパリに立ち寄ってくれたため、昼の出勤中は一人でルーブル美術館を観光してもらい、夕方キュリー研究所付属のキュリー博物館に案内した。
この頃は既に、この博物館に案内した知人、友人、来訪者は百人を超えていたかもしれない。ちょうどタイミングの良いことに、日頃大変親しくさせて頂いている技官のパトリック・スーシェットさんが受けつけのお兄さんと雑談をしていた。企業で働いている工学博士の友人を紹介したところ、わざわざ日本から来たのだからということで、見物客は立ち入り禁止となっているキュリー夫人の実験室と書斎に入れていただき、展示されている当時キュリー夫人が使っていた実験器具をいじりながら、それぞれの装置についてや、キュリー夫人について、楽しそうに説明してくれた。こんなに貴重なキュリー夫人の遺品を、さも自分で使っている実験器具であるかのようにいじっているスーシェット氏を見ながら、キュリー一家の栄光の日々と今に生きる我々キュリー研職員、人類史上の偉人と一介の無名研究者である自分の距離が、この場所ではとても近いことを改めて気付かされた。